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時間外労働になる?ならない?
どの職場においても、その判定にまよいがちな時間外労働について、具体的なケースを通して考えてみましょう。
法定労働時間と所定労働時間とは?
 法定労働時間とは、労働基準法で定められている1日8時間・1週40時間の労働時間のこと。これに対して所定労働時間とは企業ごとに就業規則で決められた労働時間をいいます。なお、法定労働時間等を超えて時間外労働・休日労働をさせる場合には、「36協定」を締結し労働基準監督署に届け出ます。
 平成16年の厚生労働省統計によれば、1日の所定労働時間の1企業平均は7時間40分となっています。多くの企業が法定の労働時間の範囲内で所定労働時間を定めています。
<所定労働時間を1日7時間に定めている会社が、1日7時間を超え8時間までの労働(法内残業)をさせた場合の取扱い>
 この場合、時間外労働手当(割増賃金)を支払わなくても労働基準法違反にはなりません。しかし、就業規則といった労働契約で所定労働時間が決められ、しかも法内残業について時間外労働手当を支払う旨の規定がなされていれば割増賃金を支給しなければなりません。仮に規定されていなくても、慣行として支給している場合、労働契約上支給すべきでしょう。
ケース1 始業前の朝礼や体操は労働時間になりますか?
回答:  始業時刻前であっても、朝礼や体操が仕事に必要な業務上のものである以上、労働時間とみなされます。ただし、朝礼や体操に参加することが強制されていることが条件で、任意参加であれば労働時間とはいえないでしょう。とはいえ、任意といっても現実的に強制力が働くようであれば強制とみなされます。考課査定に影響が及ぶ場合などは当然強制とみなされます。
ケース2 終業後の清掃や小集団活動などはどうなりますか?
回答:  終業後の清掃は仕事の後始末行為として労働時間に入ることはいうまでもありません。始業時刻前の準備行為も同様に労働時間です。また小集団活動が業務関連であれば、これも労働時間とみなされます。
 ただし、部活動のように業務関連外の活動は当然労働時間になり得ません。とはいえ、会社の特別な承認がある場合は労働時間と認められることもあります。
ケース3 上司の命令で仕方なく社内の慰労会に出席したが・・・?
回答:  上司から「これも仕事のうちだ、出席しろ」と言われて嫌々出席したが、これは労働時間にならないのでしょうか。この場合、いくら上司から命令されても直接業務とは関係のない社内の慰労会ですから、酒を飲んだりカラオケを歌うのが仕事でない以上労働時間とはいえません。
ケース4 宿日直時間は時間外労働になりますか?
回答:  休憩時間や睡眠時間は原則としては労働時間になりません。しかし宿日直をしていて、電話連絡等が入ることがあり、その受信が必要であるとき、また必要に応じて巡回をしなければならない場合などは当然労働時間とみなされます。実際に仕事をしていなくても、必要があれば直ちに仕事につくことができる状態を「手待ち時間」として労働時間になることからみれば、宿日直がそのような状態であれば当然でしょう。
ケース5 完全週休2日制ですが出張先で休日に仕事をしました。休日労働にあたりますか?
回答:  この場合、出張先で実際に仕事をしたのであれば、その時間数は原則として割増賃金の対象になります。その休日が法定休日(週1日と決められている)であれば35%増し、法定外の休日(法定の休日以外の休日)であれば25%増しの割増賃金を支払う必要があります。
ケース6 管理職には時間外労働手当を付けなくてもよいのでしょうか?
回答:  労働時間に対する規制がなく時間外労働手当支給の対象とならない管理職とは、「課長」や「所長」といた名称に関係なくその実態で判断されます。
 一般的に管理職とは、「労働基準法にいう管理監督の地位にある者」「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者に」をいいますが、次のような場合は時間外労働手当が必要になるとされています。
  • 本人の「出退勤」が管理されている場合。
  • 従業員の「採用面接や人選」に関与しても経営者と一体的な立場とはいえない場合。
  • 割増賃金を考慮した基本給や手当が設定されていても、その額が割増賃金に見合うものでない場合
など
《中堅幹部などが1日8時間労働等の規制からはずされる?》
 厚生労働省は「1日8時間、週40時間労働」の規制から「企業の中堅幹部候補で管理監督者の手前に位置するもの、研究開発部門のプロジェクトチームのリーダー」などをはずす方針を固め、今年の通常国会で法改正を目指していきます。ただし、その条件として、一定以上の収入がある、本人の同意、労働時間の配分が幅広く本人の裁量に任されているなどが挙げられています。

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