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4月以後、人事に関する変更が予定されています。保険料の負担増になる事項もありますので、資金繰りの上でも、要チェックです。
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【総報酬制で企業もサラリーマンも負担増】
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サラリーマンの場合、健康保険や厚生年金の保険料は、原則的には、毎月の給料をもとに決められ徴収されています。
この4月からは、「総報酬制」が導入され、賞与からも毎月の給料と同じ料率で徴収しなければなりません。
《影響と対応は?》
・4月以降、厚生年金・健康保険の給与天引き分は減る(手取額は増える)が、
賞与の天引き分は増える(手取額は減る)ことになります。この点を社員に周知
させておく必要があります。特にボーナスの年収に占める割合が大きい人は要
注意です。
・賞与時は企業負担も増えるので、資金繰りを見直す必要があります。
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<中小企業の場合>
政府管掌健康保険に入っているところでは、次のようになります。
〔現行〕
・厚生年金保険…月収の17.35%(労使折半)
・政府管掌健康保険…月収の8.5%(労使折半)
・賞与(3回以下)について…各1%
↓
〔平成15年4月以降〕
・厚生年金保険…月収および賞与の13.58%(労使折半)
・政府管掌健康保険…月収および賞与の8.2%(労使折半)
【夏季賞与に1社員に50万円支給した場合の例】
〔現行〕
厚生年金と健康保険の保険料は、本人および会社ともそれぞれ4千円程度
の負担。
↓
〔平成15年4月以降〕
本人および会社ともそれぞれ5万4千円程度の負担。
※金額は概算です。
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【雇用保険の給付削減?】 |
雇用保険制度の見直しがなされ、5月より次のような給付の削減がなされる予定です。
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(1)失業手当の給付水準について
@高額受給者の給付率
現行 | 改正案 |
離職前賃金の6割〜8割」を支給 | 「離職前賃金の5割〜8割」を支給 |
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A給付日額の上限額
60歳未満 | 現行より24%引下げ |
60歳以上65歳未満 | 現行より27%引下げ |
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(2)高年齢雇用継続給付について
60歳時に比べて、賃金が15%を超えて下がった65歳未満の人の賃金を補
てんするというもので、次のように変更されます。
| 現行 | 改正案 |
支給要件 | 賃金が15%超低下 | 賃金が25%超低下 |
給付率 | 賃金の25% | 賃減の15% |
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(3)教育訓練給付について
認定を受けている講座の受講費に対する助成率、支給上限額および支給要件
の雇用保険加入期間が次のように変更されます。
| 現行 | 改正案 |
助成率 | 80% | 40% |
支給上限額 | 30万円 | 20万円 |
加入期間 | 5年以上 | 3年以上 |
*雇用保険料率の引上げ(現行の月収比1.4%〔労使折半部分〕→1.6%
に)は、平成17年4月からとなるようです。
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解雇のルールが法制化される!?
社員を解雇する際の手続きや要件を明確にする「解雇ルール」の制定が検討されています。例えば「正当な理由なく行った解雇は無効」などといったことが労働基準法に明記されようとしています。次のようなことが検討されています。
(1)解雇ルールの制定
現状では、「解雇の必要性がある」「解雇を避ける努力をした」「解雇者の選抜が合理的」「労使協議の手続きが妥当」といった条件を満たせば解雇が可能とする判例があるだけで、解雇の条件を定めた法律は現在ありません。解雇ルールの骨子は次のとおりです。
@使用者が正当な理由なしに従業員を解雇した場合は無効。
A就業規則に「解雇の事由」を明記すること。
B従業員は解雇される前にその理由の開示を請求できる。
C解雇が無効の場合、従業員・使用者双方の話し合いによる金銭
解決の請求ができる。
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(2)有期雇用の契約期間の上限延長
パートや派遣従業員などのように、働く期間をあらかじめ労使で定める「有期雇用」の上限期間が原則1年から3年に延長される方向にあります。
ただし、一部の専門職や60歳以上の高齢者については5年とされます。
(3)裁量労働制の対象を拡大
ホワイトカラーへの導入要件を緩和すると同時に、対象事業場が本社以外にも拡大される方向です。
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