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「退職」と「解雇」の違いは?
  退職は従業員の意思で雇用契約を解消することであり、解雇は従業員の意思に反して使用者から雇用契約を解消されることです。
  そこで「職業選択の自由」(憲法第22条)が保障されているために、退職は従業員にとって自由で、会社から制約することができないのが原則となっています。もっとも、退職の際に「雇用契約の終了」(民法第627条)の制約や、転職の際の「不法行為」(民法第709条)や「守秘義務違反」、個別の取り決めによる「競業禁止」などは、問題となった場合、例外的に自由とはいえません。
  一方、解雇は、通常解雇の場合、「30日前の解雇予告あるいは解雇予告手当」の支給が必要であり、解雇の「正当な事由」がなければなりません。
  この点で、使用者にとって解雇は退職と大いに異なります。
退職のつもりが解雇と認定された?
  企業が経営の合理化の一環から、やむを得ず社員に退職を勧奨するケースがあります。この場合は、労基法を遵守することが大事です。
  すなわち退職するように使用者が説得したり通告する際の手段、方法が合法で社会通念上妥当と思われる範囲でなければいけません。
  例えば、脅迫によって退職の意思表示をさせられるような場合です。説得の話の内容が脅迫に当たるだけでなく、何回もしつこく繰り返し強引に迫るといったことは違法になるので注意する必要があります。
  その他、従業員の退職の意思表示に重要な錯誤があった場合は無効になります。たとえ従業員が退職届に署名捺印したからといって、必ずしも退職が有効になるとは限りません。本人に退職の意思がないのであれば「解雇」となり、その場合、解雇が果たして成立するのかが法的に問われることになります。
「雇い止め」は解雇になるか?
  雇用期間を定めている雇用契約の場合、現在は特別なケースを除いて期間は1年以内(ただし「3年以内」に延長する改正案が国会で審議中)となっています。そこで多くの企業では、雇用契約の更新によって継続的に労働力を確保しているのが現状ですが、「雇い止め」を行う場合に注意が必要です。
<雇い止めとは?>
「雇い止め」とは、雇用契約の期間が過ぎたため自動的に契約が解消されるもので、そのことを労使がすでに合意していることです。したがって解雇とはいえず 退職の扱いをするのが原則です。
  そこで、この期間を定めのある雇用契約の更新が繰り返し行われた場合(期間の長さではなく更新の回数)、ある時点で使用者が雇い止めによる退職を考えたとき、この雇用契約の解消は退職ではなく「解雇」となってしまいます。
*雇い止めについての厚生労働省の指針
  なお、雇い止めの予告期間として、有期雇用契約の更新によって「1年を超えている場合で雇用契約を更新しないときは、少なくとも30日前に更新しないことを予告するように努めるもの」という厚生労働省の指針がでています。
「採用内定取消し」の場合は?
  採用内定の時点で、就労はしていないが雇用契約が成立している場合が多い(時には雇用契約締結の予約と見られる場合もある)ようです。そこで、内定者の意思に反して使用者が雇用契約を取り消すことは“解雇”に該当します。解雇である以上内定取り消しは正当な事由が必要になります。内定取り消しは、合理性のある正当な事由がなければ、勝手にできません。つまり、就業規則に定められている解雇事由に該当すれば内定取り消しできるが、それ以外は取り消しできないといえます。
  一方、内定者が内定期間中に内定を取り消しても、これは本人の意思に基づく雇用契約取消しであるため退職ということになり、退職には正当な理由の必要はないので自由にできることになります。
リストラのよる整理解雇の注意点
整理解雇に際しては、まず次のような点に注意を払う必要があります。
(1) 回避努力をする
使用者がこれまでにいたる経営上、管理上の努力をどれだけ払ってきたか。この点が不充分であれば権利の濫用として正当性を欠くことにもなりましょう。なかでも人事労務に関しては、配置転換を図って解雇者をできるだけ少なくするような努力も大切です。
(2) 必然性がある
当然のことながら、リストラによる整理解雇の必然性が存在することが前提となります。
(3) 充分な話合い協議をする
解雇を行うこととなれば重大問題であるため、従業員に対する説明や話合い、労働組合がある場合は事前協議を充分に行うことが大切といえます。
(4) 解雇の適正な手順
就労状態や就業の成績などを考慮して行わなければなりません。

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