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現在の厳しい経営環境下では、賃金のあり方をよく吟味する必要があります。
そこで財務比率から自社の生産性や人件費の妥当性をチェックしてみましょう。 |
【一人当りどれくらい売り上げているか 】 ⇒一人当り売上高 |
生産性で最も一般的な指標が一人当り売上高です。
これは、従業員一人当りいくらの売上高を上げたかを示します。
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一人当り売上高(月)(千円)={ 純売上高(年)÷12 }÷平均従業員数 |
<評価の目安>
高いほど効率がよいといえます。ただし、売上が上がっても仕入原価や材料原価が大きければ、付加価値は相対的に小さくなるので、付加価値にも注意しましょう。 |
【一人当りどれくらい稼いでいるか 】 ⇒一人当り加工高(粗利益) |
企業の生産性をみる上で重要な指標です。従業員一人当りの月平均の加工高(粗利益)を示します。つまり、従業員一人当りいくらの付加価値を稼いだかを表しています。よく「自分の給料の三倍かせげ」などといわれますが、これはそれだけ余分に稼がないと利益の確保がおぼつかないということを指しています。
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一人当り加工高(粗利益)(月)(千円)
={加工高(年)÷12}÷平均従業員数 |
<評価の目安>
一般的には、この数値が高いほど、その企業で加えられた付加価値が高く、発展性があるといえます。 |
【一人当りどれだけ人件費がかかっているか 】 ⇒一人当り人件費 |
これは、役員報酬や賃金、賞与、販売員給与、事務員給与、退職金、法定福利費、厚生費等の総人件費の一人当り(常勤役員を含む)の金額です。 |
一人当り人件費(月)(千円)
={人件費(当期労務費+販管人件費)(年)÷12}÷平均従業員数
<評価の目安> |
労働分配率(次項参照)が上昇しないのであれば、高い方が望ましいといえます。なお、平均人件費の水準が高いか低いかは、年齢別、地域別、業種別の平均賃金を基準に検討する必要があります。

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【人件費が加工高(粗利益)のどれくらい占めているか 】⇒労働分配率 |
これは、加工高に占める人件費の割合を表しています。人件費の増加率が加工高(粗利益)の上昇を上回ると、労働分配率は上昇し、収益性の悪化を招きます。この比率には要注意です。 |
労働分配率(加工高)(%)
={人件費(当期労務費+販管人件費)÷加工高(粗利益)}×100
<評価の目安> |
低い方が企業の利益の内部蓄積が増えるので望ましいといえます。しかし給与等は世間相場などによって決められることが多いため低くすることは困難です。
むしろ人件費の増加を織り込んで付加価値を高めることが必要です。 |
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