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【顧客ニーズに合った効率的勤務体制が必要】
 現在、各種の販売業等では、日曜や祭日の営業、時間外や夜間のサービスなどが要請され、そのニーズに対応している企業が機会損失を防ぎ、業績を伸ばしているようです。
 さらに顧客のニーズは時間延長だけでなく、地域や職種の枠を超えて広がっています。たとえば、店舗による販売接客業にとどまらず、配達や医療などの分野にまで及んでいるのはいうまでもありません。
 そこで、こうした顧客のニーズに対応できるように従来の勤務体制を柔軟に見直し、自社に合ったムダのない経営効率を向上させる勤務体制を導入する必要があります。
【営業時間延長等に対応できる勤務体制は?】
主な勤務体制は、次のとおりです。

(1)シフト制の導入
 休日や時間外労働に対処するために、例えば早番・遅番などの交替によるシフト制をしくことが考えられますが、次の点に留意する必要があります。
[シフト制を導入する際の留意点]
<表1:時間外労働の上限時間>
期間 限度時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1ヶ月 45時間
2ヶ月 81時間
3ヶ月 120時間
1年間 360時間
*ただし、1年単位変形労働時間制を採用する場合の1年間の時間外労働の上限は320時間です。
@ 労働基準法36条に基づく36協定でその時間の範囲を定める
A 時間外労働に注意しきちんと管理する
時間外労働を行わせるには、必然性があること、労働者に時間外労働を拒否する正当な理由がないことが条件なので、きちんと管理します。なお、時間外労働にも上限があり(表1参照)、無制限ではありません。
(2)交替による休日出勤
 休日営業に伴い、社員を休日に出勤させる際、代休と振替休日がありますが、扱いが異なるので注意してください。

「代休」
休日に就労させた代わりに、その就労した日以後に他の就労日を休日として与えることをいいます。
「振替休日」
休日出勤の前日までに、休日と決められている日を就労日に変更し、その代わりに他の就労日を休日に振り替えることをいいます。

「代休」は休日出勤に対し割増賃金等の支給が必要となりますが、「振替休日」は支払う必要はありません。つまり、「代休」の場合はすでに休日労働が行われた後であるからで、休日を相殺することのできる「振替休日」とは異なるのです。
(3)変形労働時間制の採用
 休日出勤や業務上に繁閑がある業種などには、変形労働時間制が適しています。
 変形労働時間制とは、業務の繁閑や特殊性に応じて、忙しい時には集中して働き、余裕があるときには休みを多く取れるように労使で労働時間の配分等を工夫できる制度です。
 これには「1週間単位の非定型的変形労働時間制」「1ヶ月単位変形労働時間制」「1年単位変形労働時間制」があります。より利用されている1ヶ月単位変形労働時間制の運用については、次の点に注意しましょう。


「1ヶ月単位変形労働時間制」の注意点
@ 就業規則に1ヶ月単位変形労働時間の具体的な時間と日をあらかじめ特定し、変形期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えないようにします。
A 1日8時間を超える時間を定めた場合は、その時間を超えなければ1日8時間を超えても時間外労働にはならないが、その定めた時間を超えた場合は超えた時間が時間外労働となります。その反面、1ヶ月を通して平均8時間を超えてはいけないので、1日8時間未満就労する日が必要となり、その日はたとえ8時間未満の就労であっても設定した時間を超えれば時間外労働となります。4週7休あるいは8休といった勤務体制も入ります。なお、年間の勤務時間体制は、変形労働時間をとらない期間を設けたり、あるいは各種変形の制度をそれぞれ任意に併用することもできます。
(4)パート、アルバイトの採用

 正規社員の時間外、休日労働が増えるために法定の就労時間を超えたり、割増賃金が増えるといった弊害を除くために、その労働時間をパートタイマー(主婦やシルバー社員など)、学生アルバイト、時には派遣社員といった非正規社員を雇って対応する場合も少なくありません。勤務体制から見れば、柔軟で雇用の創出などにもつながり、いわゆる「ワークシェアリング」(仕事を分かち合うこと)の形態の一つとして非常に有効でしょう。ただし職種によっては生産性を低下させる、社会・労働保険料を増大させるといったマイナス面も考えられ、慎重な検討が必要です。
 

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