|
決算は何のために行うのでしょうか?税務申告の際に決算書を添付しなければならないことから、「申告納税のためだけに行う」と思っていませんか。実は決算は1年間の経営内容・経営成績を客観的に評価するものさしとして重要な意味があります。
|
【決算書は「企業の顔」です】 |
日々、企業は営業活動を行っています。その結果として、売上げがどれくらいあり、経費がいくらかかって、利益がどれだけ得られたのか。そしてそれらがバランスシート上で財産として、どういう形で残っているのか
といったことを見るために決算を行います。つまり決算書は、企業の1年間の通信簿であり企業の顔なのです。
厳しい経済環境では、企業は現状を把握し経営改善を行っていかなければ生き残れません。1年間の通信簿である決算書には、企業の長所と弱点が表現されます。
|
【金融機関が重要視する決算書】 |
金融機関は、取引企業に対して、決算書や月々の試算表の内容を厳しくチェックしています。特に昨年末から今年にかけては、ますます厳しい姿勢で臨んできています。
|
 |
<事例:金利の引上げ要請をされたA社>
卸売業のA社は、何とか赤字にならない程度の業績を上げていた。A社長は、
決算書の重要性を理解せず経理まかせの成り行きで決算を行ってきた。しかし、金融機関では直近の試算表を厳しくチェックしたようで、信用格付を見直し、
借入金の金利を3%引上げたいと言ってきた。毎月の返済額はこれまでの倍
近くになる。今後の取引を考えればある程度は応じざるを得ないものの、要請どおりでは会社がもたないため交渉中だ。
|
|
また別のある会社は、融資を受けている金融機関から事前に決算の見通しを聞かれ、もし悪ければ融資に応じないとの金融機関側の意向を暗に示されたといいます。
このように金融機関は決算書を非常に重要視しています。
|
【決算を他人まかせにしてはダメ!】 |
決算では、最終的な数字をどのようにまとめるか、経営者の意思が反映されます。現在のような厳しい経営環境では、経理まかせの成り行き決算を行っていては、有効な対策を講じることができず将来の展望は開けません
業績向上に向けて、経営者自身が次のことを行うべきです。
(1)現在までの売上げや費用、利益などを正確に把握し、決算の数値をきちんと
予測する。
(2)次期以降の中長期経営計画をにらみながら決算の最終的な数値をどのよう
にまとめるか、シミュレーションしながら方針を意思決定する。そしてその方針に
基づいて決算対策を検討します。 |
【これだけは実施しておきたい5つのポイント】 |
決算に際しては、確認・準備しておきたい事項があります。ポイントは次のとおりですので、モレのないようにしましょう。
|
ポイント1:
社内在庫だけでなく仕掛品や社外在庫も正確に実地
たな卸をする
|
|
たな卸は原則的には決算期末(例:3月31日)に行わなければなりません。特に倉庫に預けているものや輸送中のものなどは見落としてはダメです。
切手や収入印紙、高速道路の回数券(ハイウェーカード)などの金券もたな卸をします。
|
|
各得意先に売掛金残高確認書を送付して売掛金の残高を確認します。
|
|
期末日現在の未払金について、仕入先等から請求書を漏れなく送ってもらいます。その他の負債があればそれも確認しましょう。
|
ポイント4:
預金や借入金などの残高証明書を入手する
|
|
決算日現在における預金・借入金・割引手形の残高を確認します。取引金融機関に対して、預金等の残高証明書の発行を依頼しておきます。
|
ポイント5:
会社が所有する有価証券等の資産を確認する
|
|
会社所有の株券など有価証券やゴルフの会員権などの資産について実際に確認しておきます。
|
 |
<会計事務所からのお願い>
決算を迎える会社は、次の事項を準備して下さい。
@決算期末日には実地たな卸を必ず行って下さい。なお実地たな卸をしたとき
に記入した用紙は必ず保存しておいて下さい。
A決算期末日の現金残高を金種別に実査して下さい。
B締め後、売上げを早めに確定し、仕入に伴う請求書を早めに取り寄せて下
さい。
C取引のある銀行など金融機関から当座預金口座のコピー、預金や借入金
の決算期末現在の残高証明書を入手して下さい。
D貸し付けているものや立て替えているものがあれば、そのものの残高
を確認して下さい。
E今期1年分のすべての書類をダンボール箱に入れるなどしてまとめて
おいて下さい。
|
|
|