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株主総会などを開催しないと・・・・・・
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株式会社において、株主総会は最高意思決定機関です。その株主総会を開催しないと、株主総会決議事項が決定できず、それを受けた取締役会も開催できないことになります。
その結果、会社の業務は法律に適合しているといえなくなり、次のような問題が生じて、企業経営に大きな影響を及ぼしかねません。また、万一トラブルがあったときは、法的に対抗できません。
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<いろいろな不都合(一例)>
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取締役の報酬増額や退職金の支給を行ったが、株主総会を開催してそれについて決議していなかったため無効と判定され税務上否認されてしまった。
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金融機関に多額の融資を申し込んだが、取締役会等の決議を経ていないため、融資が受けられなかった。
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株主総会を開いていないのに取締役や監査役を変更し登記したところ、公正証書原本不実記載として、罰金が科せられてしまった。
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株主総会開催に伴う注意点
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株主総会は、株式会社の構成員である株主が出席し、商法や定款に沿って会社の法的重要事項を決議する最高意思決定機関です。そして株主総会で決議した事項の執行については、取締役会に委任されることになります。
株主総会の開催にあたって、次の点を再確認しておきましょう。
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(1)
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株主総会に参加できるのは誰か?
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役員であるかどうかに関係なく株式を持っている株主が対象です。
(1単元未満の株主は議決権を持たない)
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(2)
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株主総会が成立する条件は?
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出席している株主が持っている議決権が総株主の議決権の過半数に達していることが必要です。
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(3)
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開催に必要な手続きは?
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@取締役会を開催し、総会の開催日時や開催場所、報告事項、審議事項などを決める。
A総会開催日の2週間前に代表取締役が各株主に対して招集通知を出す。
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(4)
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開催時期はいつか?
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定時株主総会は決算期ごとに開催しなければなりません。具体的にいつ開催するかは、定款に基づき取締役会で決めます。
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(5)
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開催する場所はどこか?
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定款で決められているときはその場所で、決められていないときは本店所在地かそれに隣接する場所とされています。
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総会開催後に議事録を作成
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株主総会を開催したら、必ず議事録を作成しておかなくてはなりません。というのも、関連諸規定にすべて適合した手続きがなされ、客観的にみて正しく処理されていることを証明する資料は議事録しかないからです。
そして万一、訴訟になったときなどに反論する際には、議事録は有力な証拠になるのです。
取締役会を開催した場合も議事録を作成します。
なお、株主総会の議事録には次のような事項を漏れなく記載します。
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<株主総会議事録の記載事項>
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日時(開会と閉会の時刻も記載する)
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開催場所
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議決権のある株主総数並びにその議決権数
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出席した議決権のある株主総数並びにその議決権数
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議長(誰が議長をしたか)
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決議内容
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議長(代表取締役社長)及び出席取締役の署名捺印(記名捺印)
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<ワンポイント:登記事項は2週間以内に登記!>
一般の会社の商業登記簿の登記事項として、商号や本店所在地、取締役、監査役などいろいろあります。株主総会等で決議した事項のうち、こうした登記事項については、本店所在地で2週間以内に登記しなければなりません。登記しないと、社長個人が過料に処せられます。
特に取締役及び監査役については、退任・新任の場合のみならず任期ごとの登記も必要ですので、間違いのないようにしましょう。
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商法改正で招集手続きが簡素化
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商法が改正され、表1のように招集手続き等が簡素化されています。
<表1:株主総会に関する主な改正事項>
改正事項
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内容
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招集通知発送期間が1週間に短縮できる
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総会日の2週間前までに招集通知を出さなければならないとされていますが、定款に株式譲渡制限のある会社では、定款でその期間を1週間まで短縮できます。
*平成15年4月以後の株主総会で定款を変更し、その次の株主総会から利用可能。
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招集通知の発送を省略することも可能になる
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議決権を行使できるすべての株主の同意があれば、招集手続きを経ないで株主総会が開催できます。定款変更は不要で、同意の効果は1回限り。
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書面による総会決議が可能になる
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議決権を行使できるすべての株主が、書面やインターネット等によって株主総会で議題になっている議案に同意した場合、その議案を可決する総会決議があったものとされます。
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特別決議の定足数が3分の1に緩和される
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定款の変更や資本の減少などの特別決議においては、総株主の議決権の過半数にあたる株式を有する株主の出席が必要ですが、定款で総株主の議決権の3分の1まで定足数を緩和することができます。
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