 |
【資金繰りを良くするには 】 |
年末に向けては、年末商戦の在庫積み増しや販促費の増加など何かと資金が必要になる時期です。 |
【資金繰りはお金のやりくりのこと】 |
資金繰りというと何かとむずかしそうですが、ごく簡単にいうと、会社における「お金」のやりくりのことをいいます。ここでいう「お金」とは、単に現金だけをさすのではなく広い意味を持ち、「資金」といいます。具体的には、現金や普通預金、当座預金、郵便貯金、定期預金(借入金等の担保になっていないもの)等で、現金と自由に引き出して支払いに充てることができる預貯金です。 |
【資金繰りは入ってくる資金と支払いのバランス】 |
資金繰りが良い&悪いというのは、入ってくる資金(手持ち資金を含む)と支払いとのバランスによって決まります。 |
 |
支払い以上に入ってくる資金(手持ち資金を含む)がある |
→ |
資金繰りが良い |
 |
入ってくる資金(手持ち資金を含む)以上に支払いがある |
→ |
資金繰りが悪い |
|
<入金が少ないのに支払いが多く資金繰りがつかなくなったA社の例>
卸売り業のA社は、とにかく販売に力を入れ、売上を上げ利益も出ていた。ところが売掛金の回収をおろそかにしてきたため、入金が思ったようにはかどらない。かといって仕入れ等に対する支払いは待ってくれず、支払いによって資金が出て行くばかり。金融機関にあわてて借入れを申し込んだが、融資姿勢は厳しく簡単には応じてくれず、資金繰りがつかず会社は立ち行かなくなった。 |
この例のように、入ってくる資金以上に支払いが多くなってバランスを崩し、資金繰りがつかなくなれば、黒字であっても倒産ということになりかねません。資金繰りは最も重要な問題なのです。 |
【資金難への対処は早めに行う】 |
まず、資金繰り表をきちんと作成し、それに基づいて支払予定金額合計と入金予定金額とを比べ、現金預金残高も含め資金ショートしないかどうかを確認します。さらに同様の確認は日付ごとにも行い、特にこの時期は年末までの資金状況を確認しておく必要があります。それによって資金ショートの可能性とその金額および時期を早めに発見し、資金不足への対応策を早めに講ずるようにします。
なお、資金ショートへの対応策として下記表のようなことが考えられますが、資金の捻出までには時間がかかるものがあります。いずれにせよ早めの対処がポイントです。 |
<資金の捻出策> |
項目 |
具体的内容 |
売掛債権の
回収強化 |
 |
回収計画表を毎月作成し営業担当と連携して取引条件どおりきちんと回収するようにする。 ・・・等 |
|
資産の売却 |
 |
投資のための有価証券は売却する。 |
 |
不要不急の土地&建物その他資産は売却する。
・・・等 |
|
仕入の抑制と過剰在庫の縮小 |
 |
原材料や商品等の仕入を見直し、不必要に多く仕入れない。 |
 |
過剰在庫は値引きしてでも売却する。 ・・・等 |
|
費用の
見直し |
 |
製造&販売&管理にかかわるすべての費用について見直し、削減できるものは削減する。 |
 |
役員報酬の減額を検討する。 ・・・等 |
|
金融機関
からの
借入れ |
 |
融資の申込みは早めに行う。(融資姿勢が厳しく、融資が思うように受けられない場合もあるので、その時の対応策として上記の項目内容も検討する) |
 |
できるだけ長期&低利で借り入れる。 ・・・等 |
|
その他 |
 |
得意先に事情を話し、通常の売掛金入金前の入金をお願いする。 |
|
|
【資金繰りに悩まない財務体質に変える】 |
前述のような資金の捻出策は、予測される資金ショートに対して行うもので、抜本的な資金繰り対策ではありません。
抜本的に改善して資金繰りに苦労しないためには、財務体質を変える必要があります。そのポイントは次のとおりです。 |
<ポイント1 : 赤字経営から脱却し、利益の出る構造にする> |
黒字倒産の例もありますが、資金繰り悪化の最大の原因はやはり「赤字」です。支払いの源泉は事業活動による利益であり、利益が出なければ支払いもできなくなります。売上を上げて利益を出し、きちんと回収して支払うという構造に変えていきましょう。 |
<ポイント2 : 赤字の製品&事業を見直し撤退を検討する> |
赤字の原因となっている製品や事業を洗い出し、生産量を縮小したり、不採算事業の撤退等も検討します。 |
<ポイント3 : 増資を検討する> |
可能であるならば増資を検討します。というのも慢性的に資金繰りが苦しいのは、資本が少ないのが要因だからです。 |
 |